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名作の残像

あの壁に
美しい一枚の絵が掛かっている

観るものを惹きつけて止まないような
あどけない 瞳のきらきらと輝いた少女のいる絵が

その絵のある家庭の者たちは
やがて荒れていった

絵のモデルとなった少女は 父に言いなりの母親に唾を吐き
時に暴力を振るった
父とは口を利かなくなった
芸術家崩れで 家にたいした金も運んで来ない
自分の幼き日の絵を描いた父とは

少女は女性になり
一人 海外へと旅立っていった

家には 心の居場所をなくした人達と
あとげない 瞳をきらきらと輝やかせている少女の絵だけが残った
がらんどうの家の中
母親は 絵を見つめて 涙をこらえるように言った
「この絵だけが、この絵の中に生きているこの娘だけが
私の宝物なの」
父親は 言った
「この絵は、誰かに売るよ」
夫を振り向いた妻の瞳が、何故、と問い掛けた。
「この娘は、もういないからだ。
日本にも、海外にも、未来にも、どこにも」
翌日には、その絵は売りに出された。
それから、母は毎日のように絵の掛かっていた踊り場にいき、ただ濃い茶色の壁を見つめては
売られていった絵の中にいる少女の 幸せを夢に見た。
あどけない瞳をきらきらさせた あの娘がいま、健やかで、優しく強くあることを。
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ジャンル : 小説・文学

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プロフィール

水無月ノノ

Author:水無月ノノ
神奈川県川崎市に在住の、24歳です。
メンタル問題抱えていますが、どうにか生活しています。

好きな事は読書、映画を見ること、カフェでお茶すること(スタバ好き)、料理など(簡単なものしか作れないけど)。
水彩色鉛筆で絵なども描きはじめましたが、なかなか上達しません(泣)
ちなみに、昭和24年組の萩尾望都先生&竹宮恵子先生を尊敬しています。

よろしくお願いします(^-^)

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